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「ぼくが性別『ゼロ』に戻るとき」鑑賞備忘録

この映画を知るきっかけとなったのは、NHKETV特集かな?ドキュメンタリー作品だった。のちに知ることになったのは、TV版は映画の短縮版だったこと。しかも、9年間も性的マイノリティの1人を追い続けている作品は、私は他に知らない。映画としての作品も観なければ!と思っていた矢先、近くのミニシアターで上映されるとのことで、早速行ってきた。

 

まず、私がこの作品の主人公の言葉で最も印象深く、あ、私も!と思った言葉が、まさにこのタイトルの”「ゼロ」に戻る”という言葉だった。

主人公は、生まれたときの体の性別が女性で、心は男性という性同一性障害(性別違和)の中学生。学校や社会で様々な問題にぶつかる。

”自分は今マイナスのところにいる。みんなはゼロからプラスに行くけど、自分はまずゼロに戻らなきゃいけない”

 

私の中高時代もそんな感じだった。

みんなは好きな人がいて、告白するかしないか、バレンタインにチョコを渡すのかどうするかの世界で生きている。

私は、好きな人すら友達に言えない。その時点でもう、スタートラインが違うのだ。出遅れた青春時代?みたいな。

この”ギョーカイ”の人はわかると言ってくれるかもしれないが、恋愛デビューは20歳過ぎの人も多いと思う。だから、20代半ばでようやく中高時代の遅れを取り戻すかのように、恋愛に勤しむこともよくあると思う。”ギョーカイ”の人で、初めて会った人に、なんとなく「好きかも」みたいな、錯覚のような恋をしたり、相手から「好き」と言われて、やっぱり「あ、私も、かも…」みたいな、本心かどうかも分からない関係を築いたり……。

このドキュメンタリー映画の主人公は、恋愛をしたのだろうか。作品の中では語られていないが、おそらくいたに違いない。

 

そして、性別適合手術を終え、戸籍上も男性となった主人公が辿り着く性別が、Xジェンダー、ということ。この展開に惹きつけられて、NHKの番組を観た後に、思わず友達にこの番組の話をした。なんだこの、丸く収まらない感じは!

Xジェンダーというカテゴリー?ができて、とても救われた人は少なくないと思う。私も、どちらかといえば中性的だと思うからだ。性自認は女性で、生まれた時の性も女性の私だが、胸は豊満じゃなくてよかったーと思う。もし豊満だったら、なんとかして(サラシ巻いたかも)ペッタンコにしたに違いない。胸もお尻もペッタンコが自分らしいと思う。

これもXジェンダーと言われればそうかもしれないけど、性別欄には迷いなく「女性」に○を付けるし、男に間違われたくないから、そうじゃないと思う。

 

LGBTQの一員である私だが、本当に他の人の性自認なんかはわからないものだ。「LGBTQ当事者だから」と、知った気になってはいけないとこのドキュメンタリーを観てそう思った。個のストーリーは、100人いれば100通りあると思う。会ったこともない主人公の記録を見ていて、目が覚めた気分だった。