5ヶ月の空白を振り返る(2)
農作業は集中し出すと楽しく、余計なことを気にせずにいられたらよかったのだが、シンプルに仕事のみに集中できる時間は短かった。
いわゆる、「お局」と言えばわかりやすいだろう。キツめのお局様で、圧の強いパートの人がこの職場のずっしりと重く大きい岩石に思えた。
ここであーだこーだとぶちまけても仕方がないので省略する。
その人と一緒に仕事するには、的確で物事をはっきり言うところは評価すべきところだったが、和を大事にするとか、表面上だけでも褒める、まで行かなくても波風立たせないように、人の心を傷つけないように指摘するとか、そういう配慮には気を配らないところが精神的にきつかった。
でも、私は割り切って、
「この仕事をやりたくて入ったんだ」
「一人の人間の機嫌に気を取られるな」
「いろんな人間がいるし、育ち方もそれぞれだから受け入れよう」
「いや、頑張って受け入れることをしなくてもいい」
「我慢しないように、辛くならないように、仕事以外ではなるべく離れていればいい」
など、頭の中ではうまくやれている気がしていた。それに、周りのパートさんたちも同じような思いでいるだろう、我慢してるんだろう、と思っていた。
だから、口には出さないが仲間意識もあった。
ある日、お局様が休みの時、あるパートさんと二人だけになったことがあった。
彼女は私に、
「大丈夫ですか?」「休んだりしないんですか?」
と、休みを取ったことがない私に話しかけてきてくれた。
そんな話の流れで、女ばかりの職場ってキツくない?という話題になり、
やはり、彼女も私と同じ思いで、我慢していることが伝わってきた。
お互いの気持ちを共有できたことは、その時なにより救いに感じた。
それでも、お局様のキツさは変わらず、見えないところで、仲間のパートさんは私を気遣い、声をかけてくれていた。
けれど、徐々に私の動作ののろさが、お局のイライラを掻き立て始めたようだった。
日々、少しずつ加えられるジャブに、私は強気で、気力で乗り越えていられていると思っていた。