5ヶ月の空白を振り返る(6)
土曜日の閑散とした事務所に入り、こわばった顔であいさつ。
履物合計4足を集めて持ってきた袋に入れ、その社員さんに退職届と保険証を渡した。
「お世話になりました!」と頭を下げ、その足ですぐさま帰ろうと思っていたが、
話しているうちに涙が・・。
いろいろ話しているうちに、なんとなく笑顔で事務所を後にできた。
それは思いがけずよかったことだった。
社員さんは「いいんだよ、自分で決めたことなんだからさ」と言った感じで、
心配してくれていたパートさんは、ものすごく心配してくれていたらしい。
帰りは、行きとはまるで違った爽快感に近い気持ちで運転していた。
しかし、それからもなんとも言えない不快感と、恐怖心が尾を引いていた。
まず、昼間に外には出られなかった。
私が乗っている車は、近所ではあまり見かけない車種。見かけたらすぐに、私と分かってしまう車。
もし、元職場の人に見られたら・・。
だから、近所の買い物は日が落ちて暗くなってからにした。
そして、犬の散歩も警戒心ビンビンだった。
一度だけ、仕事の後にお局と遭遇してしまったことがあったから、その散歩コースは、行きたがる犬を無理に引っ張り、通らないようにした。
そんな中、前月から始めていたオンラインの在宅ワークの講座が救いになった。
動画の編集コース。
今も続けているが、1案件をいただいて継続している。
1本1,500円を週に1本ほどなので、小遣い程度の収入だが、精神的には在宅ワークをしてるから、完全に無職ではない自負の念がある。
この動画編集を続けながら、安定した収入(月10万円程)を得られればベストだと考えているが、程よい仕事がなかなかこの田舎では見つからない。
精神的にも安定してきたし、とにかく今できることをやっていくしかないと思っている。
ひとまず、これで現在に至る、といったところだ。